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「家庭はかけがえのない大切なもの」という考えが一瞬で消え去ったあの日。信頼関係から、それ以上の感情が生まれないなんて言い切れますか?

転職を繰り返し、3つ目の職場として入社したのが、彼と出会うことになる現在の職場です。

Fさんは当時の印象は、軽そうな人。
でも、どことなく気難しそうなところがありそうな人でした。私の3か月前に入社したMさんと3人でみんな年齢も近かったこともあり、すぐに仲良くなりました。

彼は当初の印象通り、軽い一面はあるものの
仕事に関しては別人かのように誠実で責任感が強く、まじめに取り組む人でした。次第に仕事の相談も増え、信頼を寄せるようになりました。
元々、プライベートの話もよくしていましたが、互いの悩みを打ち明けだすようになり、自然と仲も深まっていきました。私が何か困ったことがあると、誰よりも先に気づき、声をかけてくれフォローしてくれました。そんな彼に惹かれるのにそう時間はかかりませんでした。

でも、私は既婚者です。
きっと、もっと早い段階でそんな気持ちに気づいていたと思います。でも、そんな気持ちに蓋をしなくてはいけない理由がありました。
なぜなら、私が出会ったときには既に彼も結婚していたからです。お互いに家庭を持ち、何にも代えがたい大切なもの。それを手放してまでいく道ではない、そう思っています。

そんな気持ちが一瞬で消えてしまったあの日。

年末に開催されて会社の忘年会に出席し、帰りは電車で帰る予定でした。飲み会中、彼とはあまり話すこともなかったのですが、会が終了する際に駅まで送ると声をかけてくれて一緒に駐車場まで歩きました。駅までの道のりは本当にたわいのないくだらないいつもの会話して楽しく歩きました。でも、心の中はそれとは裏腹に何とも言えない気持ちでいっぱいでした。
駅に着き、横並びで互いの顔が見えていなかった目線がお互いを見つめあった瞬間
「帰りたくない」
そんな思いが溢れてきました。
そんな自分の気持ちに気付くと同時に、私は彼の腕の中にいました。
「もうちょい時間ない?」
耳元で囁かれたその言葉にNoはありませんでした。初めてお互いの思いを口に出した時、心の奥底でずっと蓋をしてきた思いが、溢れかえってきたかのように一時でも大切に思っているはずの家族の顔は頭の中から消えた夜でした。私達が過ごした時間はそれっきりです。

今も同じ職場で働いていますが、何事もなかったかのうように毎日を過ごしています。なんとなくですが、お互いの気持ちは完全に消し切れていないことだけは言い切れません。