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一年前に僕が異動になった部署で、彼女はお局様扱いされていました。あえて聞いたりもしませんでしたが、話の内容からすると年齢はだいたい40代ぐらい。酷く不美人という訳でもなく、年齢の割には素直な表情をするひねくれたところの無い人で、僕にはなぜ彼女が独身のままなのかが不思議でした。僕も彼女も映画が好きで、年齢も近いので好みの映画の傾向も似ていて、休み明けなどは職場で彼女と映画の話をするのが楽しみになっていました。
きっかけは小さなもので、加齢臭対策に試しに買ってみた男性用の香水だったのです。特に高価な物でもない、ネットで検索して人気ナンバーワンみたいな、ありがちな物です。
その日は休憩時間に公開したばかりの邦画の話をして、その時に彼女は研修の書類を用意しないといけないから、今日はかなり残業しないといけないと話していました。
僕はまだ彼女と話をしたかったから、終業間際にわざと物置部屋の片付けの作業を入れて、自分も残業となるようにしました。一時間ほど作業して、そろそろ良いかなと思って部署に戻ると、嬉しいことに彼女もまだ残って作業を続けていました。
「まだ残ってたんですか、もうみんな帰りましたよ」と言われてわざとらしく、
「物置になってる部屋が前から気になってて。そっちはまだ終わらないんですか」と答えると、
「私、文章考えるのが苦手で、まだ掛かるので電気と鍵は私がしていきます」とモニターを睨んだままの彼女からため息の混じった返答が帰ってきました。
その時に僕は少し勇気を出して、「手伝いましょうか」と言ってみたんです。
彼女が「良いんですか。ありがとう」と嬉しそうに答えたので、もう少し勇気を出して、彼女の後ろからモニターを覗き込んでみました。
彼女は僕が後ろから覗き込んでも体を避けませんでした。
そして、「良い香りがしますね。香水とかつけてます?」と僕を見上げて笑ったのです。
僕はできるだけ自然な言い方になるように「パソコン持って、休憩室で作業しませんか。身体使ったから足伸ばして、お茶も飲みたいし」と言ってみました。
どう自然に言っても不自然極まりないですが、彼女は「そうですね。どうせ時間掛かるし」と言って同意してくれました。
休憩室に移動して並んでパソコンに向かった後、真面目に仕事に取り組んだのはほんの十数分といったところです。
肩が触れても、キーボードに僕が手を伸ばしても彼女は嫌がらない。「ホント良い香りですよね」と言って彼女が僕の首元に顔を近づけてきたときに、僕の腹は決まりました。
「もうちょっと映画の話しません?」と言って僕は自分の腕を、キーボードに伸ばした彼女の腕とからめました。
その後、僕と彼女は、映画の話をしながらお互いに体を触り合いました。軽くですがキスもしました。
もう一度勇気を出して「ホテルとか行きますか?」と聞くと、彼女は「奥さんのいる人とエッチなんかしないよ~」と言って笑いました。
僕が慌てて「じゃあ映画に一緒に行きませんか?」というと、彼女は「何の映画にします?」と答えて、もう一度僕の首元に顔を近づけてきました。
中年のしかも不倫の関係が、まるで高校生のカップルのようにその日から始まりました。