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自分自身を見失うあの激情はいったい何だったのだろう。元カレと再会して燃えて・・・最後に独り残された私は膝から崩れ落ちるように座り込んだ。

あの自分自身を見失うような激情はいったい何だったのだろうと今でも記憶の片隅に残っている。

過去に少しだけ交際していた男性でした。別れて暫くしてから足が遠のいていた馴染みのBarで再会。スタッフとしていつの間にか働いていた。彼はかなりのイケメン。話も関西弁でノリが良く、気さくで面白い人。
まあ調子良すぎる所はあるけど、それはもういつも女性に狙われていた。

懐かしい再会でお互いの近況などを話し、数年はBarのスタッフと客というスタンスで友人のようなノリの関係でした。既に結婚していて子供も一人いて、愛人までこしらえていたしね。
相変わらずの女好きだけど、嫌みを感じさせない女の間を上手に渡り歩くような所は変わっていない。

ある時、私の誕生日の日は独りで寂しいと愚痴っていたら
「俺が祝ってやる」って。
雪がちらつく冬の寒い日に、観光ホテルのロビーで待ち合わせをした。心はすごくうきうきして早足だったっけ。
ホテルに着いたら彼は外で待っていてくれて、最上階のホテルのBarでお祝いをしました。その時にお互いの付きあっていた頃の話になり、過去の失敗や誤解などを語り合っていたら、昔を思い出して泣いてしまいました。

そのまま何も言わず2人きりになれる部屋へ行ってしまった。あの頃の情熱が私の中に蘇えってしまった。

確かに彼は奥さんも子供も愛人もいたけど、そんなことすらも忘れてしまうくらい、彼に夢中になった。

彼も2人でいるときは甘い夢を見させてくれる。
でもやっぱり身体の関係だけ。
色々なしこりが膿となって出てきた。
不毛な関係だよなと頭では解っているのに
身体が逢えばお互い求めてしまう。でも空しい。
もうこんな関係駄目だお終いにしたいのに言い出せない失いたくない。
心がどんどん荒んでいった。
いつも胸が苦しくて、息を吐くのも辛かった。
彼も自分の状況は解っている。
だからお前はセフレにはなるな。俺はもう結婚も出来ないし、お前も将来を考えろと背中を押してくれた。
そう私は解っていた、自分から言い出せなかった。

あの夜のことが今でも記憶に残っている。
彼に別れを告げられて、マンションの部屋から去ろうとする彼にすがりつく私。お互い頷きながら最後の抱擁を交わした。独り残された私は本当に膝から崩れ落ちるように座り込んだ。独りいつまでも泣きじゃくった。

あまりに辛くて今では記憶も曖昧だけど、あの瞬間だけは今でも鮮明に頭の片隅に残っている。