投稿数: 231

このページはPRを含みます。

愛犬が全て教えてくれた、街を見下ろす公園での秘めやかで嬉しくて苦しい日々

毎晩21時過ぎ、大型犬の愛犬の散歩をするため、自宅から1キロ離れた街を見下ろすことができる公園までの散歩が日課でした。

子育てと家事から追われる一日の中、夜の公園で一人の時をそっと楽しむような時間を過ごしていました。
同じように、公園で一人で静かにタバコを吸う仕事帰りの一人の男性がおりました。

3ヶ月くらいは、ああいるなというような認識で接触もなかったのですが、そこに誰かがいるという不思議な安心感がありました。

半年が過ぎた頃、お互いの存在が自然なものになってきたので、
どちらとなく挨拶をするようになり、何となく「寒いですね」から、ポツリポツリと交わす会話が増えてきて、そこからはお互いの仕事の悩み、人間関係の愚痴を事を話すようにまでなったのです。

そうなると彼がコンビニでコーヒーを買って待っていてくれるようになったり
、出張のお土産をくれたり、誕生日は小さなプレゼントを用意してくれていたり……
気がつくと彼の人柄に惹かれるようになりました。

愛犬は何かを察しているのか、いつも大人しくしていました。
ベンチに座る2人の距離が近くなり、とうとう私たちはキスをしてしまいました……

そうなると気持ちが溢れるようになりました。この先進むべきかどうか。
でも公園には行かずにはいられなく、想いがとめられず、時々、愛犬を彼の車に置いてホテルに入るようになりました。

想いが止まらなくなりそうで、主人や周りに気がづかれたらどうしようかと
嬉しくて苦しい日々に酔いしれていたら、愛犬が急に引き付けを起こし、
あっけなく天国へと旅立ってしまいました。

あまりに急で悲しい出来事に呆然となりながらも、我に返り、バチが当たったのかもしれない……引き際を愛犬が教えてくれているのかも、と……

公園に行く理由もなくなったので、彼を会う事をやめました。

今でも夜、空を見ていると彼を思い出すことがあります。
いつかまたあの公園に行くかもしれない……
そんな風に秘めやかな情熱がまだ胸にくすぶっています。